2メートル以上の高さから、勢いよくカップに注がれるカフェオレ。最後はポットが天井にドン! 名古屋でモーニングを食べるなら、世界十数カ国のメディアにも紹介されている超ユニークな喫茶ツヅキにキマリ!
Yahoo!ライフマガジン編集部
一風変わった喫茶店「喫茶ツヅキ」で目がさめるモーニングを
名古屋駅から太閤通を西へまっすぐ1.5キロ。大門交差点の角に喫茶ツヅキはある。
昔は遊郭があり、お祭りでは盛大な花魁道中(おいらんどうちゅう)が行われていたという古くからの街だ。
ビルの2階へ上がって店内に入ると、目に飛び込んでくるのは色とりどりの花、花、花!
ーーお花屋さんもされてるんですか?
- 店長 都築秀紀さん
- 店長 都築秀紀さん
- 「まさか! 全部100均の造花ですよ~、あはは!」
……ん? これはかなり、風変わりなお店の予感!
ショップカードを拝見するに、一風変わっていることは「自他ともに認める」というヤツらしい。
そして、秘技「カフェオレ天井落とし」とは一体……⁉
喫茶ツヅキを一躍有名にした
「天井落とし」
脚立の上からコーヒーとミルクをカップに注いでカフェオレを作るのが、喫茶ツヅキ名物の「カフェオレの天井落とし」。ホットのカフェオレ(540円)を注文する際にリクエストすると、追加料金なしで披露していただける。
コーヒーとミルクを別々に注ぐ方法はフランスにもある正統な作り方で、それを東京で見かけた2代目の都築憲幸さんがお店に導入。
お客さんを喜ばせるために少しずつ高さがエスカレートし、5年ほど前からはついには天井にぶつかるまでに!
状況が許せば、2代目の憲幸さんと3代目の秀紀さん、父子2代での共演もお願いできる。
ーーお父様の秘技を失敗せずにできるようになるまで、かなり練習されたのでは?
- 店長 都築秀紀さん
- 店長 都築秀紀さん
- 「いやー、やってみたら最初から上手にできたんですよ。あはは!」
この軽やかさ、だんだんクセになってくる。
参加型ショーに進化中!
高さがMAXに達した今、天井落としは参加型に進化しつつある。
グループの場合、実演前に1人が脚立内へ誘導され、他の人には撮影する位置や撮り方について丁寧な指南がある。それからいよいよ天井落とし、という順番だ。
取材時はママ友会が行われており、おひとりが秀紀さんの中学時代の同級生。「おもしろいお店があるよ!」と、お友達を連れてきたそう。古くからの友人ということもあり、笑い声の絶えない明るい雰囲気で天井落としが披露された。
――脚立の間から見るのはどんな感じでしたか?
- お客さんのアカネさん
- お客さんのアカネさん
- 「ジョボボボボーッと音がして、目の前というよりも真上から降ってきているみたいでした! 正面から見るよりも、すごく高いところから落ちてきているように感じましたよ」
――熱くはなかったですか?
- お客さんのアカネさん
- お客さんのアカネさん
- 「熱くはないですがちょっとハネるので、白い服じゃないほうがいいと思います!」
脚立から降りて仕上げのモコモコ泡を作れば、カフェオレが完成!
しかし、フォトタイムはさらに続く。
花をバックに脚立を移動させて並び、ポットに余っているコーヒーとミルクをなんと直接口に⁉
「ちょっと熱い! でもおいしい!」と、またまた歓声と笑いが起きる。
最後は脚立に乗り、ポットを持っての記念撮影で参加型天井落としは終了となった。
もちろん、天井落としを見たいだけならそう伝えればいいので、どこまで参加するかは自由。秀紀さんも雰囲気を見ながら進めてくれるので、強制される心配はないので安心だ。
ミルクたっぷり、モコモコ泡のカフェオレ
泡で覆われたカフェオレは、ゆっくり撮影を楽しんだあとも充分に熱くおいしい。
泡が消えないのは空気をたっぷり含んでいるためで、天井落としは単なるショーというわけではないのだ。
カフェオレのカップは、天井落としに適した形のオリジナル。もとはイギリス製のカップだったが全部割れてしまったため、現在は似たデザインを特注して瀬戸で焼いてもらっているそうだ。
モーニングでも、天井落としOK!
名古屋といえば、モーニング。喫茶ツヅキにも、お得なモーニングセットがある。
ドリンク代のみでいただける日替わりモーニングは約30種類あり、1カ月毎日来ても違うものが食べられるようになっている。
――モーニングでも天井落としをお願いできるんですか?
- 店長 都築秀紀さん
- 店長 都築秀紀さん
- 「はい、もちろん大丈夫です!」
――モーニングも豪華で、ドリンク代だけとは思えないですね。
- 店長 都築秀紀さん
- 店長 都築秀紀さん
- 「寒い時期は、ピザトーストやトーストサンドなど少し手間のかかる温かいメニューも増えるのでオススメですよ」
ドリンク+追加料金で頼めるセットもある。
写真の「Bセット」(590円)は明方ハムのサンドイッチで、レタスとキャベツがたっぷり。薄めのパンは口に入れたときの主張が控えめで、ハムと野菜のおいしさをダイレクトに味わえる。
セットドリンクは4種類
ドリンクは、コーヒー・紅茶・ソーダ水・ミルクから選べる。自家焙煎コーヒーが人気のお店だが、5種類のリーフをブレンドした紅茶も好評だ。
差額を支払えば他のドリンクを注文することもでき、カフェオレなら+108円となる。
「Cセット」は、卵・ハム・サラダ・フルーツとホテルのモーニングのようなリッチさ。フルーツの種類は仕入れによって変わるが、常に7種類はある。これでドリンク付き640円は破格だ。
ちなみに「Aセット」(450円)は、ロールパンのサンドイッチ2種(卵サラダ・ハム)となっている。
フルーツパーラー、コーヒー店としても実力派
ビル1階の看板には、「自家焙煎珈琲」「世界のフルーツパーラ」の文字がある。
喫茶ツヅキが天井落としで有名になったのはここ5年ほどのことで、それまで60年以上もの間、地元で愛されてきたお店。おいしくなければ、そう長くは続かない。
珍しいフルーツも
もりだくさんのパフェ
さきほどのCセットでもわかるが、喫茶ツヅキはフルーツがお得にいただけるお店。パフェメニューも豊富で、こちらも旬のフルーツがふんだんに使われている。
秀紀さんは「フルーツパーラの看板は適当に作っただけですよ」とさりげないが、パパイヤやドラゴンフルーツを使っている喫茶店はそうそうない。
――すごいボリューム! 完食するのは数人がかりになりそうですね。
- 店長 都築秀紀さん
- 店長 都築秀紀さん
- 「いえいえ、1人で完食される女性も多いですよ。ランチ代わりにときどきこのホットケーキパフェを食べにこられる常連さんもいます」
丁寧に淹れる、自慢の自家焙煎コーヒー
1946年(昭和21年)に秀紀さんのおじいさまが創業した喫茶ツヅキ。2代目の憲幸さんの代になってから、コーヒーにも力を入れるようになっていった。
コーヒー豆の産地や品種に注目するサードウェーブコーヒーが日本でも流行しはじめた数年前からは、ブレンドコーヒーではなく1種類の豆を指定する「ストレート」での注文も増えてきたそうだ。
ブレンドはサイフォン、アイスコーヒーやストレートはネルドリップなど、コーヒーをおいしく淹れるための努力も惜しまない。
写真は豆を挽いたあと、ふるいにかけて微粉を取り除くための道具。コーヒーの雑味がなくなって、キレのあるクリアな味わいになる。
喫茶ツヅキは、年中無休で
7時30分から
喫茶ツヅキの営業は、朝7時30分から。この時間からであれば、仕事前でもゆったりと余裕を持って過ごすことができる。
名古屋駅からもアクセスしやすく年中無休なので、楽しい名古屋モーニングのお店として覚えておきたい。
- 店長 都築秀紀さん
- 店長 都築秀紀さん
- 「カフェオレとパフェは提供に少々お時間をいただきますので、少しお早めにお越しくださいね!」
取材・文・撮影=一番ヶ瀬 絵梨子(日本プリコム)